« ここに駐車できます | トップページ | 勝手にランキング(炭酸水 編) »

僕とぽんちゃん(1)

毎週、決まった曜日の朝に酒瓶の回収業者がやってくる。

「酒瓶の回収業者」

と、割と遠まわしな言い方をしてしまったが、

私たちの業界では、この人達は、

「ビン屋(瓶屋)」

と言われ、私たち酒類販売小売業などから、空容器の酒瓶の回収を専門におこなっている業態の人たちである。

もう、何十年も変わらない、ずっと同じ業者さんだ。

しかも、うちにやって来るこの業者さんの担当の人も何十年と変わっていない。

その担当の人というのは、

ちょっと頭が薄弱なおじさんと、しっかり者のおじさんの2人組だ。

しっかり者のおじさんがトラックの運転と、回収した酒瓶の集計や伝票を切ったり、現金管理をして、

その間、ちょっと頭が薄弱なおじさんは、瓶を一生懸命に選別をする。

ちょっと薄弱なおじさんは、計算のようなものはできないが、形や色の違いを仕分ける単純な作業はすることができる。

実は、驚くべきことに、私の母親の話では、

その人達は、40年以上前に母親がうちに嫁にきた時から、ずっと代わらずに、同じ人が来ているらしい。

だから、彼らは少なくても60歳以上、多分、70歳近くなのだろうか。

***** 

その、ちょっと頭が薄弱なおじさんは、密かに「ぽんちゃん」と呼ばれてた。

私は、ずっとそれは彼の「本名」に由来した「愛称」かと思っていたが、

そうではなく、どうやら彼の「薄弱」からきていることを数年前に知った。

それはともかく、

週一回、その瓶の回収日に、わずか一言、二言、私とその「ぽんちゃん」と交わす会話は、第三者的には、割とシュールだ。

****

この日の朝は、その酒瓶の回収日。

開店前、私が自販機の横の空き缶の片付けをしていると、あの二人組みのおじさんがトラックに乗ってやってきた。

空瓶を仕分け終わり、しっかり者のおじさんが伝票を記入している間、

「ぽんちゃん」はやることがない。

ぽんちゃんは、あたりを見まわし、外で作業をしている私を見止めると

不意に私に近づき、

「な、なぁ、そ、そろそろ、カブトムシの幼虫、いっぱいでるころだね」

と、ナチュラルに声を掛ける。

その「一言」で、私はいろいろな事を想像する。

ひょっとして、ぽんちゃんの趣味はカブトムシなのだろうか? とか・・・・・。

多分、「ぽんちゃん」は、私の父親よりも年上で、70歳くらいだと思う。

真っ黒に日焼けしているぽんちゃんは、肌の色つやなど、ずっと若く見える。

そんな年齢差のある人から、いきなりカブトムシの幼虫の話をされても・・・。

私は、彼の言葉に、

「そうかもしれないね」

と適当に応えた。

ぽんちゃんは、その私の言葉を聞くと、急に

くるりと私に背を向け、先ほど自分が整理した酒瓶の一本を取り出し、

「こ、こういう瓶は、ダメなんだよ」

と、私に軽く注意をしたのだった。

あぁそうか、ぽんちゃん的には、もうカブトムシの幼虫の話は終わっていたんだな・・・。

つづく(気が向いたら)・・・。

Tsuruhodare1


越の鶴 ほだれ酒

|

« ここに駐車できます | トップページ | 勝手にランキング(炭酸水 編) »

「今日の出来事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/46368/60231081

この記事へのトラックバック一覧です: 僕とぽんちゃん(1):

« ここに駐車できます | トップページ | 勝手にランキング(炭酸水 編) »