« 結界 ~マスカガミ「秋の宵」~ | トップページ | 柳家紫文&東京ガールズ ライブ! »

夏の自由研究(5)

カブトムシの短いツノの折れた断面からは、プチプチと体液の泡が出てる。

しかも、よく見ると足も一本折れてなくなっている。

傷ついたカブトムシに、私たちは為す術が無かった。

コイツは、もう長くないかもしれない・・・。

恥ずかしながら、私はカブトムシが「ひと夏」しか生きられないことを、今まで知らなかった。

確かに、子供の頃、夏になるとカブトムシを捕まえて飼っていたことはあるが、

大抵、途中で飽きてしまうため、飼育方法が悪いために死んでしまったと、

ずっと思っていた。

中世の賢人は、『メメント・モリ memento mori「死を想え」)』と言った。

「死」を忘れたところに「生」の意味も悦びもない(「生の円環運動」丸山圭三郎)

そして、カブトムシは日に日に弱り、やがて飼育ケースの隅のところで、うずくまる様にして死んでいた。

カブトムシが元気なうちに、たとえ買ってきてでも、メスをカップリングさせて、一発させてあげたかったなぁ、と、つくづく後悔の念に苛まれた。

aikoの「カブトムシ」の歌詞の気持ちが、少しだけわかった気がした。

数日後、深夜、オリンピックの野球放送を観ていたら、ついウトウトと居間で寝てしまった。

台所から「バタバタっ」という物音で目が覚めた。

何事かと思ったら、ノコギリクワガタが飼育ケースの中で暴れていた。

電気を点けたら、止まり木の上で、ピタっと動きを止めたが、その姿はまるで雄叫びをあげるライオンのように、雄々しいものであった。

ノコギリクワガタも越冬が難しいと聞く。

よし、わかった。

君に、ひと夏の思い出をつくってやる。

体力を温存して待ってろ!

私は、「ある事」を決意したのだった。

つづく

|

« 結界 ~マスカガミ「秋の宵」~ | トップページ | 柳家紫文&東京ガールズ ライブ! »

「趣味」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 結界 ~マスカガミ「秋の宵」~ | トップページ | 柳家紫文&東京ガールズ ライブ! »