負けちまった悲しみに
長男の高校野球。
一昨日、延長11回を制し、ベスト16入り。
******
ベスト8をかけた対戦相手は、全てコールドで勝ち上がってきている私立のスポーツ強豪校。
会場は、プロ野球の試合も開催されるハードオフエコスタジアム。
公立高校のこちらは、一昨日、延長11回を投げ抜いたエースが再び登板。
さすがに疲れは隠せないものの粘りのピッチング。
大量失点はないものの、こちらのミスなどもあり、毎回じわりじわりと得点を重ねられ、
力及ばず、8-1で7回コールド負け。
****
最後の打者は、私の長男だった。
7回表。
ツーアウトから3番の2年生が執念のヒットで出塁。
4番のエースがファーボールで出塁。
ツーアウト、1・2塁。
ここで1点でも返せば、コールドにはならずに次の回につながる。
そんな大事な場面で、打席に立ったのは5番で主将の長男。
この日の一番の見せ場だったと思う。
結果は、最近のパターンの外角に手が出ず、見逃しの三振。
****
30度を超える気温、スタンドのため息、私は全身の力が抜けたようにうなだれた。
せめて最後は、空振りでもいいから振ってほしかった。
そして彼には、今日の、この最後の打席の悔しさを一生覚えていてほしいと思った。
バットを振らなければ何も起こらない。
あの時、バットを振っていれば何かが起きたかもしれない。
人生でも必ずそういう場面があるはずだ。
何もしなくて、後で後悔するよりも、
何かをやって後悔する方がいい。
***
長いミーティングの後に、部員たちが球場の玄関からでてきて、
保護者に挨拶をした。
つい、おととい対戦した、敗退したチームと同じ最後の光景だ。
勝てばこんな挨拶を聞くことはない。
これから学校に戻って、3年生は部室から自分の道具を引き払うのだろう。
どこも同じように、敗戦の翌日から新チームが始動するにちがいない。
青い空、積乱雲、ジリジリと強い日差し、むせるような気温。
セミの声が鳴り響く、夏の午後のグラウンド。
去る者と残る者。
世代を超えて何度も繰り返されてきた、二度と戻らない当たり前の風景だ。
***
長男は毎日のように始発の電車で学校に行き、帰宅するのは21、22時。
そんな部活生活を2年半過ごした。
よくもまぁ続いたと思う。
実は、この高校はかつては、
春の選抜大会にも出場し、
近年ではプロ野球選手も輩出した「古豪」にもかかわらず、
今の3年生である長男たち12人が入部しなければ、
その時の3年生が引退すると9人に満たないという状況まで部員が減っていた。
それが、10年ぶりにベスト16に進めたのも感慨深い。
本人はどう思っているかは知らないが、
もう一日だけ長くみんなでグラウンドでプレーをしてほしかった。
別に、部活が終わったからと言っても、
二度と野球をやらないとか、この世からいなくなるとか、
そういうことではないのだが、
なぜだか、高校野球に一つの区切りをつけるというのが、
強烈に悲しいのは、私だけだろうか?
最近のコメント