野球は金がかかるものだ
店舗兼自宅の裏が、「お宮さん」と呼ばれる神社である。
この「お宮さん」はかつて、その地区に住む子供達の「ゴムボール野球」の「球場」であった。
敷地は大きくはない。
その敷地内には、地区の公民館がある。
この公民館の屋根を越えるとホームラン。
そして、その隣にある私の店の倉庫の屋根にも、ボールが上がれば、それもホームラン。
しかし、その間に立つトチやイチョウの木の枝葉をかいくぐるようにボールを飛ばさなければ、屋根までは到達しない。
途中、打球が枝や葉っぱに当たってしまい、急落下したボールを捕った場合は、もちろんそれはアウトである。
つまり、「あるがまま」の環境の中で、ゴムボールで野球をする。
そこで小学生が野球をして遊ぶには、あたかも誰かが「ゴルフコース」の設計をしたような、まるである種の難易度が設定されているかのような環境であった。
ゆえに、ホームランを打つには、それぞれの「工夫」が必要になってくる。
「あのトチの木の枝葉を抜く打球を打つためには、どうしたらいいのか?」
「至近距離ではあるが、ライト方向に相当する公民館の屋根を越えるためにはどのように打ったらよいのか?」
そんなふうに何となく思いながらも、
結局はみんなで、一つのボールを「打ったり」「投げたり」「捕ったり」すること、それ自体が楽しかったからこそ、日が暮れ、やぶ蚊に刺されるようになっても、その「球場」で遊んでいたのかもしれない。
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あれから30年以上経ったが、その神社は変わらずにそこにある。
私の場合、自宅から、ほぼ10秒で行くことのできる最も身近な「球場」である。
そして今、かつての野球少年であった私は長じて大人となり、また人の親となり、自分の子を相手に、その「球場」で、あの時と同様に、遊び、時に真剣に「野球」をしている。
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ところが先日、子供とキャッチボールをしていた時に、
愚息の放った悪送球が、
その軟式C球が、
ポン、ポン、ポン、ポ~ン
と跳ね、公民館の玄関のガラス戸に「コツン」と当たった訳で・・・
そのガラス戸に、放射線状にピキ、ピキ~っ、とひび割れができるのを、
この目で、スローモーション映像のように見たわけで、
一気に脱力、血の気が引いた。
普通ね、いろんな漫画を見ていても、ガラス戸を割るときはね、大抵、ホームランをカキーンと打って、ガッシャーン!ってなって、ハゲオヤジが「コラーッ!」って言うもんなんですよ。
ところがね、つまらない悪送球で、ポン、ポン、ポン、ポ~ン、コツン、ピキピキ~って・・・。
情けね~。
とりあえず、あわてて区長さんのところへ謝りに行き、ガラス戸の弁償を申し出た。
2~3万円ほどの金額を覚悟した。
自動車税も払わなければならないのに・・・・。
実は、区長は地元で工務店を経営しており、随分と安く仕上げてくれたようだ。
その費用は、背中から汗が垂れる金額ではなかった。
また、幸いにも私が留守の時に集金にきたらしく、私の母親が立て替えて払ってくれた。
そういうわけで、野球は金がかかることを実感した。





































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